日本人の自覚症状のある体の不調が平成28年国民生活基礎調査にて発表されました。
女性の自覚症状第一位は「肩こり」次いで、「腰痛」男性の自覚症状第一位は「腰痛」二位は「肩こり」という結果になりました。
男女共に肩こり腰痛が順番違いで、一位二位という結果。筋力の弱い女性が頭の重さから肩こりに、体重の重たい男性は腰痛になりやすい傾向があるということでしょうか。
ちなみに、日本の全国民の約9%が腰痛の症状があると自覚しています。
この結果から、整体師セラピストは肩こり腰痛を解消出来る施術スキルが必須なのは言うまでもありません。
頭部前方突出と呼ばれる姿勢で、側面から体を見た時に頭だけ前に飛びてている姿勢です。
肩こりの症状を持つ人のほとんど全員と言っていいほど、肩がつらい人はこの姿勢を日常取っています。
体重の10~15%の重さを占める頭、その重たい頭が体の前方に飛び出ると肩や首、背中の筋肉にまで相当な負担が掛かります。
正しい姿勢の場合、頭の重さは垂直に足まで掛かり頸椎、胸椎、腰椎の自然なS字のアーチが重みを分散してくれるので、過度にどこかに集中した負担が発生することはありません。
頭が前側に飛び出ると、そのアーチが崩れるので頭の重さを肩周りの筋肉だけで支えることになり、肩こりになるのです。
頭が前に出てくると、その重みで背中が引っ張られ続けるので、徐々に猫背になっていきます。猫背になると、腕が内旋して体の内側に入ってくるイン・ショルダーと言われる状態になっていきます。
そうなると肩周りの筋肉は、頭の重さに腕の重さまで支えなくてはならなくなり、益々、肩こりがひどくなります。
そもそも、なぜ頭が前方に突出するのか。パソコンの画面を見入ったり、スマホを俯いて触ったりと、覗き込む姿勢を多くとるからだと言われています。
前方突出した頭は重たすぎる為、自然とうつむき気味になり目線が下に落ちます。しかし、それでは視界が狭まり危険なので、脳は視界を水平に保つよう働きます。
うつむいた状態のまま視線を上に挙げるには、顎を持ち上げるしかありません。これは、意識せず人が自然にやってしまう動作です。
頭を前に突き出した状態で顎だけを持ち上げると視界は水平に保てますが、頸椎のアーチが狭まります。長期間この姿勢を続けてしまうと、頸椎の前弯(前側に曲がるアーチ)が消失してしまい、ストレートネックになってしまうのです。
鏡に向かって横向きに立ち、体の側面を映します。耳の穴と肩の真ん中を線をイメージして結んで、真下に真っ直ぐ一直線のラインが引ければ問題ありません。少し面倒ですが、スマホのカメラを使って写真を撮って客観的に判断してみましょう。
斜め前、頭の方に角度がつけば頭部前方突出と言われる姿勢です。放っておけば、肩が内旋して猫背になり、ストレートネックになっていきます。
もしそうなれば、肩こりだけでなく頭痛やめまい、不眠などの症状まで現れ始めます。首の周りには迷走神経などの体の機能維持のために大切な神経が通っています。
ストレートネックになり、それらの神経を筋肉や骨の歪みで圧迫してしまうと神経に異常を来たし、日常生活に支障をきたす程の不調が始まります。
また、厄介なことにストレートネックは一度発症すると、そう簡単には治りません。病院や整体院に通わなければならないことがほとんでお金も時間もかなり掛かります。
併せて、セルフケアも根気よく続けなければ解消することは難しいので、ストレートネックはならないに越したことはありません。
頭を前に引っ張ている筋肉を緩めましょう。斜角筋(首の前側にある筋肉)や小胸筋(腕の前側の付け根あたりの筋肉)にストレッチを掛けるのが有効的です。
立った状態で、背筋を伸ばしてから後ろで手を組みます。そのまま首を後ろの反らしていきましょう、この時、息を吐きながら行うとさらに効きます。
首を反らせるところまで後側に倒したら、後ろで組んだ手を床の方に向かって真下に引っ張る様に伸ばします。
こうすることで、小胸筋や斜角筋へのストレッチがより強く掛けられます。回数や秒数はお好みで、辛くならない範囲で行ってください。
次に、同じように背筋を伸ばして後ろに手を組んだまま、顎を引きます。顎が鎖骨につくようなイメージで真下まで顎を引きつけましょう。
頭のてっぺんが天井に向かって伸びていきながら、顎は鎖骨に向かっていくようにストレッチをかけます。息を吐ぎだしながら行うと、しっかりと伸びますが、苦しく感じる人は自然な呼吸のまま行ってください。
こちらも回数や伸ばす時間は自分の好みで行ってください。
整体師セラピストの方が、斜角筋、小胸筋をほぐす際は仰向けがおすすめです。
斜角筋は、前中後の3つに分かれている筋肉なので、それぞれ分けてほぐしましょう。前中斜角筋は、強い圧を掛け過ぎると、喉が締め付けられてお客さんがえついてしまうこともあります。
親指よりも四指を使って、筋繊維を解きほぐすように円を描くようなイメージで行いましょう。後斜角筋は肩の方まで伸びている、首の後ろ側にある筋でコリが出来やすい箇所です。
親指を使って、しっかりとした圧で押しましょう。
小胸筋をほぐす際は、腕の付け根を狙って真上から両方同時に親指を使って圧を掛け、圧を外側に逃がすように押していきましょう。
腋窩リンパ節もすぐ近くにあるので、リンパを傷つけないようゆっくりとした圧で外側に流すようにほぐしましょう。
肩こりの人のほとんどが頭が体の前側に出る姿勢をとっている。そのままにしておくと、腕が内巻きになりその腕の重みで肩こりがさらにひどくなり、猫背になっていく。
猫背のままだと、視線が下を向くので顎だけを上に挙げて視界を水平に保とうとする、結果としてその姿勢がストレートネックを発症させる。
ストレートネックは一度発症すると、治すのはかなりの労力と時間がかかるので予防が大切。
鏡に体の側面を映してスマホなどのカメラで撮影し、客観的に見て、耳の穴と肩の真ん中がまっすぐの線で結べれば問題なし、前側に角度ついていれば頭部前方突出。
ストレッチは無理せず出来る範囲で続けることが大切。マッサージはリンパ節を傷つけないよう優しく、喉を締め付けてしまわないよう四指を使って行うのがプロのやり方。