あまり知られていませんが、お尻の筋肉と腰の筋肉は非常に深く関わり合っています。お尻の筋肉のコリをほぐせば、腰痛も自然と良くなるのです。
お尻の筋肉は大きくて強く、さらに分厚い脂肪に覆われているので、ちょっとしたコツを覚える必要があるんです。しっかり勉強して、お尻の施術をマスターし、腰痛もほぐせるよう手技を磨きましょう。
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腰の筋肉は非常に強く大きい為、コリ硬まった腰をマッサージするのはかなり大変なもの。ガチガチに硬くなってしまった腰には指が入らず中々ほぐせません。
特に、男性のお客さんを女性の施術者がほぐすとなると相当に体力を使うことになります。
また、腰の筋肉は大小様々あり、整体マッサージ初心者には腰痛を取り去りほぐすのは難易度が高いものです。
そこで、おススメなのがお尻のマッサージ。肘を使ってしっかりと体重を掛けて圧を加えることで、お尻の筋肉は柔らかくほぐれていきます。
カチコチのお尻を柔らかくするコツは中殿筋(ちゅうでんきん)をしっかりとマッサージすること。
大きな筋肉なので、肘でしっかりと圧をかけるのが効果的です。右のお尻には左肘、左のお尻には右肘を使います。圧をかける方向は、斜め45度下方、お客さんの足の方へ向けるイメージで体重を乗せること。
体格の大きなお客さんや、ガチガチで肘も入らないお尻の時は足首を持ち、外側に引っ張ります。そのまま、肘で圧を掛けながら、足首を持ってクルクルと回します。こうすることで、殿筋群が緩み、圧が筋肉の深部までしっかりと届きます。
小柄な人や、体重の軽い女性施術者におすすめのやり方です。例え、大きな体格のお客さんであっても、このやり方は非常に圧が掛かり効きすぎることもあるので、強さ加減の確認を必ず行いながら施術してください。
意外に思うかもしれませんが、お尻の筋肉と腰痛は非常に深くかかわっています。
お尻の筋肉は腰の筋肉同様に大きく、殿筋群(でんきんぐん)とも呼ばれ、大小の数多い筋肉で構成されています。
お尻の筋肉のほとんどが骨盤に付着しており、その筋肉が硬くなると骨盤や股関節に負担が掛かります。
また、腰の筋肉は骨盤と股関節周りに筋肉の停止部(筋肉の付き終わりの部分)が集中しており、骨盤が歪んだり、股関節の可動域が狭まることで、疲弊し、コリ硬まります。
ヘルニアや狭窄症等の特殊な例を除けば、腰痛を訴える人のほとんどのお尻はカチコチに硬くなっています。
腰もお尻の筋肉も大きく強く種類も多いですが、腰よりもマッサージしやすい理由があります。
それは、お尻には骨がないことです。
大きくて強い筋肉をほぐす際は、それだけ施術者は体重や力を使います。女性施術者の場合は肘を使うことも多いでしょう。
その際に怖いのは、骨に肘が当たってケガをさせてしまうことです。しかし、お尻には骨がないのでその心配はありません。
また、トリガーポイントと呼ばれる筋肉のコリが集中している部分も腰に比べて捉えやすく、初心者でも簡単に肘で捉えることができます。
中殿筋をほぐすことでお尻の筋肉を効率よくほぐすことが出来ますが、実は、中殿筋をしっかりとほぐすコツがあります。それは、小殿筋を狙ってアプローチすることです。
小殿筋とは中殿筋の深層に位置する筋肉で、その筋肉の作用(太ももを内側に回旋する働き)は中殿筋とほとんど変わりません。
お尻の筋肉は分厚い脂肪に覆われており、筋肉が大きくて強い為ので圧を届かせることは容易ではありません。中殿筋はお尻の筋肉の中でも、かなり大きくて強靭な筋肉なので肘でしっかりと押す必要があります。
女性の施術者によくあるケースですが、施術をする整体師やセラピストと受ける側のお客さんの体格差が大きい場合、たとえ肘で押したとしても分厚い脂肪と硬くコリかたまった中殿筋には圧が足りずにほぐせないことがあります。
そんな時は、中殿筋の奥にある小殿筋をほぐすイメージで圧を掛けて下さい。
小殿筋を狙って肘で圧を掛けることで、より深くしっかりと中殿筋に圧が響くので中殿筋がほぐしやすくなります。
中殿筋にしっかりとアプローチができたら、続いてほぐして欲しいのが梨状筋です。梨状筋は、大腿骨と呼ばれる太ももの付け根の骨と仙骨を繋いでいる筋肉です。
この梨状筋がコリ硬くなってしまうと股関節が硬くなってしまいます。股関節が硬くなると、歩く際に足が前に出しづらくなり、体重を上手く分散させることができず腰に掛かる負荷が大きくなり、腰痛の原因になってしまいます。
また、坐骨神経痛と呼ばれる臀部からつま先にかけて痺れるような重だるさを伴う症状の原因にもなります。高齢者や大柄な男性は股関節が硬くなる傾向にあり、それが原因で腰痛を引き起こしているケースが多くあります。
腰痛を予防する為にも、中殿筋と併せて梨状筋にもしっかりとアプローチしておきましょう。
梨状筋は股関節を外旋させる役割を担っており、腰痛と深い関わりのある筋肉です。その梨状筋の働きを助けるのが、上双子筋(じょうそうしきん)下双子筋(かそうしきん)内閉鎖筋(ないへいさきん)外閉鎖筋(がいへいさきん)大腿方形筋(だいたいほうけいきん)と呼ばれている5つの筋肉です。
梨状筋と併せて6つの筋肉を総称して、深層外旋六筋(しんそうがいせんろっきん)と呼びます。
梨状筋が疲れコリ硬くなっている人は、梨状筋の働きを補助している深層外旋六筋にも負担が掛かっていますから、併せてほぐしておくとお尻全体がしっかりとほぐされ柔らかくなります。
腰にある主要な筋肉が股関節に繋がるか、または、股関節を経由して付着しています。その為、股関節が硬くなってしまうと腰の筋肉の動きを制限し、腰痛を引き起こします。
その股関節を動かす筋肉として最も働くのが殿筋群である、大臀筋、中臀筋、小殿筋の3つです。
大臀筋が中殿筋の一部を覆い、中殿筋が小殿筋の一部を覆うようにして付着しています。
お尻が硬くなると骨盤と股関節の動きが悪くなり腰の筋肉が負担が掛かる。お尻の筋肉を柔らかくしておくことが腰痛を治し予防する為には必要。
お尻には骨がないので、整体師セラピスト初心者でも肘でしっかりと圧をかけてもケガをさせる心配が少ない。お尻の筋肉の中でも中殿筋をほぐすのが基本で、小殿筋を押すイメージで圧を掛けると良く効く。
梨状筋をほぐす際は、併せて深層外旋六筋もほぐしておくとお尻全体がしっかりとほぐれていく。
脂肪も筋肉も分厚いお尻の筋肉は指では中々ほぐせませんし、整体やリラクゼーションマッサージ初心者の方は、肘を使っての施術に最初は抵抗があるかもしれません。
しかし、長くマッサージ業界で働いていくには肘を使った手技をマスターするのは必須です。肘打ちと呼ばれる施術を覚えると指への負担を減らすことができるので手のケガを予防できます。
また、強い圧での施術も楽に行えるようになるので、体への負担もぐんと軽減することが出来ます。