何年間もの下積みを経て独立する人、スクールを卒業してすぐに開業する人、仲間たちとお金を出し合ってチームでお店を出す人。
マッサージ業界での独立の仕方は人それぞれです。
今は雇われの身だけれど、いつかは自分もお店を出したい。そう思って開業資金を貯め、腕を磨いているセラピスト整体師の方々は、厳しい現実を知っておいて損はありません。
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資本金が1千万円以上の中規模以上のリラクゼーションマッサージチェーン店を含めて、オープンから5年後に廃業していないお店は全体の5%と言われます。
さらに、資本金1千万円以下の1~2店舗の個人店の場合、5年後も営業できているのはさらに少ない全体の2~3%と言われます。
この水準は飲食店の廃業率と同じくらいの数値で、競争の激しい厳しい業界であると言えます。
資本金の少ない個人店がこれほどまでに、生き残るのが厳しい高い廃業率の主な原因は2つ挙げられます。
規制緩和により、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師といった国家資格を取得できる学校が急激に増えたことで資格所有者が大幅に増えました。
特に、柔道整復師は2014年度の時点で7万人以上の資格所有者がおり、保険治療が出来る整骨院の数も4万院を超えました。
コンビニの店舗数と同じ位の数がある整骨院は、保険治療だけでなく自由診療を取り入れて保険外の施術を取り入れており、整体院やリラクゼーションサロンと同じように、60分コースや足裏マッサージを行っているところも珍しくありません。
国家資格の一番の利点は施術を保険を使って出来ることにあります。3割負担で施術を受けることが出来るのは利用者にとって大きな魅力。
施術料金が数百円で済む3割負担の低価格には、個人経営の整体院やリラクゼーションサロンは太刀打ちできません。(保険適用の範囲の疾患が認められる場合のみ)
柔整、あんま、鍼灸などの国家資格所有者が増えれば自ずと整骨院や鍼灸院も増えるわけですから、整骨院同士、鍼灸院同士はもちろん整体院、リラクゼーションサロンも競争が激化していきます。
整体リラクゼーションマッサージの60分料金の相場は6000円前後、10分1000円が当たり前でした。しかし、都市部を中心に半額以下の60分2980円という低価格のクイックマッサージが近年一気に台頭し、今やマッサージ業界のスタンダードとなりつつあります。
資本力のある大手マッサージチェーン店が、駅前や広い駐車場を構えた大型店舗を大量に出店して顧客数を増やすことで薄利多売で利益を出せるリラクゼーションマッサージ業界の新しいビジネスモデル。
個人開業しているお店は対抗して施術料金の値下げをしますが、資金力のある大手マッサージチェーン店だからこそ成り立つこの価格帯で勝負してもまず勝ち目はありません。
個人経営のお店はかなり厳しい経営を強いられ閉店してしまいます。
皮肉な話ですが、自分のお店を持っていたベテランの整体師セラピストが廃業し、大手マッサージチェーン店が運営する格安のお店でセラピストとして働いているケースがよくあります。
お客さんからすれば、独立できるほどの技術を持った施術を格安で受けることが出来るので益々、リピート率があがり大型チェーン店は繁盛していきます。
オーナーとして自分のお店を構えて開業をする際、施術技術よりも大切なことの方が多くあります。
1人でお店を運営したところで儲かりませんから、スタッフを雇い運営していく資金、そのスタッフやサービス業としてのお客さんとのコミュニケーション能力、お店のブランディングやマーケティング。
雇われて働いている頃は会社がやってくれていたことを、独立後は全てオーナーが一人でやらなければなりません。
廃業率95%以上の厳しい世界であることを知り、1から10まで全て自分でやっていく気持ちと資金を持てるのか。それらすべてを持ちやり遂げる気持ちを持って、開業するまでに必要な事を1つずつ身に付けていきましょう。