日本人の平均睡眠時間は約7時間、世界で一番短い睡眠時間ですが実際のところ7時間も眠れない人の方が社会で働く現役世代には多いはず。
忙しすぎて睡眠時間の確保が中々できない。やっと眠れると思っても眼が冴えて眠りが浅い。
最悪の寝起きと、エマージェンシーなお昼寝で平日をやり過ごし、休日は夕方まで寝っぱなしなんてことはよくある話です。
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整体やリラクゼーションのお店に来るお客さんは言うまでもなく疲れが溜まっています。体を回復させるための睡眠の質が悪いことが多く、夜あまり眠れないという声を聴くことがしばしばあります。
そういった不眠を訴える方のほとんどが、首の筋肉が硬くコリが出来ています。
特に、首の筋肉の中でも後頭下筋群(こうとうかきんぐん)と呼ばれる首と頭の付け根に位置する筋肉がガチガチに硬くなっています。
施術者はこの後頭下筋群に積極的にアプローチして首のコリをほぐしましょう。すると、驚くほど睡眠の質が上がります。
頸椎(首の骨のこと)は全部で7本あり、重たい頭を支えています。後頭下筋群は第1頸椎と第2頸椎に付着している筋肉です。
この筋肉がコリ硬くなることで第1,2頸椎の動きが悪くなります。すると、自律神経の切り替わりに非常に悪影響があると言われています。
睡眠時に働く副交感神経が脳にありますが、第1,2頸椎の動きが悪くなることで神経伝達の邪魔をしてしまう為、眠りが浅くなるのです。
後頭下筋群のコリをほぐし柔らかくすることで、頸椎の動きを滑らかにして副交感神経の働きを正常に戻すことで睡眠の質が良くなるという考え方です。
首は荒くゴリゴリとほぐすような手技をすると頭が揺らされて気持ち悪くなってしまいます。また、色々な神経が通っており筋肉も細いので激しい施術は危険です。
優しくそれでいてしっかりと効かす施術が基本となります。
後頭下筋群はそれぞれ、下頭斜筋、大後頭直筋、小後頭直筋、上頭斜筋の4つの筋肉です。
押し方は、お客さんを仰向けにした状態で施術者は頭の方に位置どります。左手で頭を抱え込み、右手の親指を垂直に立てて筋肉にセットします。
後は、抱え込んでいた左手をゆっくり離していきお客さんの頭の自重をセットした親指一点に乗せていくだけ。
力ではなく、頭の重さを利用して圧を加えます。頭の重さはボーリングの玉くらいの重さがありますから、自重を使って押すのが最も効果的です。
押す長さは一押し15~20秒間、これを2~3回を目安に行えばほぐれていきます。4つある後頭下筋群をひとつずつ押していきましょう。
4つ全て押したら、反対側の同じ個所を同じように押せば完了です。
不眠がひどい人ほど、かなり硬くなっており痛がります。圧が強すぎる時は、お客さんの頭を抱え込んだ手で少し頭を持ち上げて圧を調整しましょう。
整体師セラピストとしての経験が浅い内は、まだ親指が強くないのでこの手技をする際は指を痛めないよう注意してください。
ボーリング玉ほどの重さのある頭を親指一点で支えるわけですから、変な角度で親指を差し込んでしまうと激痛が走ります。
大切な指を痛めてしまいますから、痛くない範囲で親指が真っ直ぐに立つ角度でこの手技を行ってください。
この手技をしているとお客さん自ら頭を動かして当てたいポイントに頭を押し込んでくる方がいます。
コリがひどい人ほどこの傾向は強く、頭をぐんぐん施術者の親指に向かって押し込んできます。
このような時はスグに親指を引っ込めるかこの手技をやめましょう。高い確率で指を痛めます、大変危険です。
四指に持ち変えるなどして、他のやり方で行うなどしましょう。
目の疲れに効くツボとして風池(ふうち)天柱(てんちゅう)という2つのツボがあります。
風池は上頭斜筋、天柱は小後頭直筋に位置しています。つまり、これらの筋肉をほぐすことで眼精疲労にも効果が期待できます。
オフィスワーカーで目が疲れていない人はまずいません。まずは、この2つの筋肉を押して手技のレベルを上げていくのがおすすめです。
後頭下筋群はうつ伏せの状態でも親指で押すことが出来ますが、どうしてもお客さんの顔が押しつぶされる形になります。その為、仰向けのやり方をすすめています。
しかし、風池天柱のある2つの筋肉だけなら、それほどお客さんに負担を与えないのでうつ伏せで押す施術者もたくさんいます。
自分に合ったやり方をお客さんとコミュニケーションを取りながら探してみましょう。
後頭下筋群が硬くなると第1,2頸椎の動きが悪くなり、副交感神経の働きに悪影響を及ぼし不眠の原因になる。
首をほぐす際、荒い施術だと頭が揺らされて気持ち悪くなるので一点に集中した手技が基本。
後頭下筋群は4つの筋肉なので1つずつ仰向けの状態で、一押し15~20秒の長さで2~3回を目安に行う。
親指をケガしないようお客さんの動きに注意して行う。
風池天柱の眼精疲労に効くツボが位置しているので不眠だけでなく目の疲れにも効く。
うつ伏せで施術することもできるが、お客さんの顔がベットで押しつぶされないように注意して行うこと。