ついに、本格的に導入されたマイナンバー制度の影響で、リラクゼーションマッサージ業界に激変が起き始めています。この業界の主軸ともいえるパート・アルバイトの整体師、セラピストの雇用がなくなるかもしれないのです。
そうなれば、根本的な賃金の形態が変わり今よりも働きづらい環境になることも考えられます。詳しくまとめてみました。
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2015年10月から交付の始まったマイナンバー制度により、マッサージ業界は大きな影響を受け始めています。
リラクゼーションや整体マッサージなど業態の違いはあれど、ほとんどのお店はアルバイトスタッフを雇って運営されており、店長以外の全てのスタッフをパート・アルバイトで回しているお店はたくさんあります。
つまり、パートアルバイトのスタッフはマッサージ業界の主軸といえる程の存在です。
しかし、マイナンバー制度が本格稼働し始めるとマッサージ業界のパートアルバイトが無くなってしまうことが予想されています。
企業がパートアルバイトのスタッフを雇うのは正社員よりも人件費が掛からないからです。正社員として雇用した場合、社会保険の加入が必須で有給や業績が良い場合のボーナスなどの手当ても含めて会社はそれだけ多くの負担を負うことになります。
パートアルバイトのスタッフを雇った場合は、社会保険も有給もつけない場合がほとんどですからそれだけ人件費が浮きます。
だからこそ、マッサージ業界のみならずあらゆる分野でパートアルバイトは重宝されています。しかし、これらは全て違法行為に当たります。
一定の条件を満たすパートアルバイトのスタッフには、有給も雇用保険も社会保険も正社員同様に会社は加入をさせる義務があります。
今までは、アルバイトとして雇われているスタッフがこのことを知らなかったり、知っていてもアルバイトという弱い立場上訴えることが出来ないケースがほとんどの為、あまり問題にはなっていませんでした。
しかし、マイナンバー制度が施行され本格稼働が始まれば個人の銀行口座のお金の流れなど簡単にわかります。もちろん会社側が誰に、いくら払っているのかも行政機関に簡単にわかることになります。
今までは暗黙の了解でまかり通っていたパートアルバイトへの不当な雇用面での扱いがバレてしまうということです。
一部の企業を除いて、一定の条件を満たすパートアルバイトには正社員と変わらない社会保障を会社は与える義務があります。詳しくは、社会保険の基礎知識
労働基準法などの『働く』ことを定めている法律に正社員とアルバイトを隔てるような差別は実際のところほとんどありません。
具体的には社会保険の加入が義務付けられています。社会保険とは、健康保険、労災保険、雇用保険、厚生年金など数多くの保証がありますが特に大切なものを絞ると以下になります。
会社が健康保険料と厚生年金の費用を半分もってくれる制度。
家族の扶養に入っているケースなどもありますが原則は、およそ月に120時間、週あたり30時間の労働を行っている場合は社会保険加入の義務があります。
詳しくは、バイトでも加入できる?「社保」のイロハとメリット
仕事を退職した際に失業保険が支払われる制度。
31日間以上の雇用が見込まれ、一週間の所定労働時間が20時間以上であること。詳しくは、雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!
同じアルバイト先で6カ月以上継続して働き、所定労働日数(アルバイトを始めたときに雇い主と契約した働く日数)の8割以上出勤した場合、10日間(継続または分割)の有給休暇をもらうことができます。
6カ月以上継続勤務した後は、1年6カ月の場合11日、2年6カ月で12日、3年目6カ月は14日、以降1年ごとに2日ずつ増加した日数分(20日間まで)と、勤続年数に応じて有給休暇をもらえます。詳しくは、アルバイトでも有給休暇はもらえるの?
週19時間以内のアルバイトとして働くのであればマイナンバー制度の影響を受けることはありません。しかし、マッサージ業界でのアルバイトはほとんどがフルタイム労働。
この為、マッサージ業界の店舗を営業している会社はパートアルバイト契約を打ち切り、代わりに業務委託契約での人材確保に動き出しています。詳しくは、整体リラクゼーションマッサージ業界での業務委託という働き方
マッサージ業界でアルバイトとして働いている人の中には、お店を掛け持ちしている方も多くいます。マイナンバー制度が本格稼働すると、ダブルワークで働いている人には大きな痛手が待っています。
あまり知られていませんが、2つの会社でアルバイトをした合計の労働時間が1日8時間を超えると、会社は残業代を支払わなくていけないという法律が定められています。
仮に、daisukeさんが、Aというお店で朝から6時間働き、続いて夕方からBというお店で3時間働いたとします。この場合、計9時間の労働をしている為、Bというお店はdaisukeさんに1時間分の残業代(割増賃金)の支払い義務が生じます。
通常、8時間の所定労働時間がありそれを超えると所定外労働時間として残業代を会社は従業員に支払う義務があります。
詳しくは、【アルバイトができない】マイナンバー制度が不都合な人々【人手不足】
つまり、Wワーク先のお店は時給を割り増しで支払う義務があるということです。
今までは、双方の会社に自分が掛け持ちで働いていることを申告しない限りWワークがバレることはありませんでした。
しかし、マイナンバー制度の本格稼働が始まれば会社は雇用をする際に個人のマイナンバーの提出を求める義務が生じる為、双方の会社に隠しきることはまず出来ません。
そうなれば、Wワークの仕事先として働く2社目のお店は残業代を支払う義務が生じます。
もちろんこの義務はマイナンバー制度が導入される前から法律で決められていることですが、働く側も雇う側も利益があるので暗黙の了解で、割増賃金(残業代)ではなく通常の時給換算で給与は支払われていましたが、行政側に筒抜けになってしまう為そうはいかなくなります。
ホントは教えたくない資産運用のカラクリ 投資と税金篇 2016 |
マイナンバー制度に伴いマッサージ業界で働くパートアルバイトのスタッフの雇用条件は社会保障の面で改善されることが見込まれますが、Wワークはほぼ出来なくなります。
整体やリラクゼーションのお店を運営する企業側に社会保障を負担出来るだけの資金力が無ければパートアルバイトを雇うことは出来ません。
マッサージ業界で大手と言われ社会保障費を負担するだけの資金力を持った会社は数少なく、ほとんどが中小規模の会社です。その為、マッサージ業界のパートアルバイト人口は激減し、個人事業主となる業務委託での働き方主流になることが予想されます。