よく猫背だねと言われる。周りの人に猫背が多い。
誰でも一度は口にしたり耳にしたことがある、身近なワードの猫背。しかし、この猫背は悪化すると深刻な弊害を体にもたらします。
猫背という平たい言葉に油断せず、治せるうちにしっかりとセルフケアしましょう。
目次
猫背とは、文字通り猫の背中のように丸くなった背中のことで、正式には円背と呼ばれています。少し猫背気味だね、なんていう会話を誰しもが耳にしたことがある様に、猫背という言葉はとても身近に感じるものですよね。
しかし、この猫背、実は大変厄介なもので体に深刻な弊害をもたらす要因となります。
猫背だと、だらしなく見える、身長が低くなるなど外見的な問題があるから治した方が良い。でも、めんどくさいし何よりそのままの姿勢が楽だし、そんな風に考えてしまいがちです。
ですが、あまりに長い間、猫背のままでいると徐々に、そして確実に体に深刻な不調が生じ始めます。
脊柱と呼ばれるいわゆる背骨の中の、胸部に当たる骨が後弯(後ろに曲がる)しすぎた状態を猫背(円背)と呼びます。脊柱は真っ直ぐではなくS字のアーチ状になっており、そのアーチがあることで体重を分散することができます。
猫背になるとアーチが崩れ体重の分散が上手く行きません。特に、重たい頭の重量を支えきれないので自然と目線は下に落ちることになります。
しかし、地面を見ながら歩いたり生活をするわけには行きません。その為、頭をあげて視線を真っ直ぐに保とうと人の体は自然と働きます。
猫背の状態ののまま視線を真っ直ぐにすると、首の骨のアーチが崩れ、中でも7本ある首の骨の一番上にくる第一頸椎が圧迫され歪みます。
第一頸椎は脳と脊柱を繋ぐ大切な役割を担っている骨で、圧迫や歪みを生じると脳に栄養を届ける髄液の循環を妨げて脳の働きを悪くし、自律神経などに大変な悪影響を及ぼします。
猫背に伴う第一頸椎の歪みは、神経を圧迫し様々な体調不良を引き起こします。
頭痛、倦怠感、眩暈、不眠、吐き気、耳鳴りなどの症状、また、睡眠障害に繋がるケースが多いことから、免疫が弱くなったり、ホルモンバランスが崩れたりと眠れないことで起きる体のトラブルが誘発されます。
さらに、厄介なことに第一頸椎が歪むことで、その下にある背骨(頸椎、胸椎、腰椎、仙骨、尾骨)がその歪みの影響を受けて、少しずつ歪んでいきます。
これは、人に備わっている代償動作によるもので、どこかの部位を痛めると自然とその部位をかばう動作を行ってしまう為です。
例えば、右足をケガすると歩く際に左足に重心がかたよる動作のことです。無意識に自然と人の体は歪みを補うための動作を行う為に、不自然な体の使い方になっていき他の骨も歪んでいきます。
体の構造上、首の歪みの影響を受けやすいのは腰椎です。そして、この腰椎と密接に関わっているのが骨盤なので、腰椎と骨盤が第一頸椎の歪みによって歪んでしまいます。
背骨を支えている土台が骨盤ですから、その骨盤が歪むと脊柱全体に歪みが生じていきます。
たかが、猫背なのに首の歪み生じてしまうまで放置することで、結果として全身に歪みを及ぼしてしまう恐ろしい症状を生んでしまうのです。
猫背の恐ろしさが分かったところで早速セルフケアを始めましょう。セルフケアの基本にして王道は、続けることです。
どんなに素晴らしいセルフケアでも続けられないほど辛いものは何の意味もありません。続けられる手軽さと効果を実感できる方法を選びましょう。
もみすたがおすすめする猫背解消トレーニングは、床にうつ伏せに寝転びます。そのまま、バンザイのポーズのように両腕を頭の方向かって伸ばします。
そのまま、両腕を床から数センチだけ浮かして1秒間止め、また両腕を床に降ろします。これを10回×3セット行います。
この際、わき腹の筋肉(前鋸筋)を意識して行うと良く効きます。
猫背になることでいつも引き伸ばされてしまい、過度なストレスが掛かっている肩から背中に掛けての筋肉をトレーニングして収縮させることで筋力をつけて猫背を解消させることが出来ます。
このトレーニングをベットなどの柔らかいマットレスの上で行うと、接地面が弛んでしまい負荷が分散してトレーニングの質が落ちてしまいます。
必ず床やヨガマットなどの硬い接地面で行ってください。
うつ伏せの状態で行うので、おでこが痛い人はタオルなどを敷いて行いましょう。
整体師セラピストが猫背のお客さんに施術する際は、菱形筋、僧帽筋、肩甲挙筋の肩こりを引き起こす代表的な筋肉を狙ってほぐしましょう。
猫背になると腕が内巻きになるイン・ショルダーという状態になります。すると、腕の重みが過度に肩に掛かる為に肩こりが顕著になっていきます。
逆に、脊柱起立筋などの背筋の筋肉は猫背になることで引き伸ばされている状態ですから、押してみても柔らかくコリがあるケースはあまりありません。
施術者は硬くなっている肩周りの筋肉を狙って施術を行うと猫背に効果的なアプローチが出来ます。
猫背による肩の内旋から、腕の前面の筋肉が硬くなっていることが多いのも、猫背の人の特徴です。
三角筋の前面を引き剥がすようなイメージでマッサージするのも効果的です。
ただし、強い痛みを感じることが多いので、強さ加減に注意してお客さんとコミュニケーションを取りながら施術することをおすすめします。
猫背になると目線が下に落ちる為、首だけが上を向き第一頸椎が圧迫される。第一頸椎が歪むと髄液の流れが滞り自律神経などに悪影響を及ぼし、あらゆる体調不良の原因となる。
人に備わっている代償動作により、首の歪みは腰椎や骨盤を歪ませていき、やがて全身が歪んでいく。
歪みは、肩こり腰痛だけでなく、不眠やホルモンバランスにまで影響を与えるので、結果として猫背から全身の不調が生まれる。
猫背を治すセルフケアの基本は続けること。効果が高くても続けられないような辛いものは避けるべき。
トレーニングは床の上で行い、おでこが痛い時はタオルなどを敷いて行う。ベットなど柔らかい所で行うと効果が半減する。
セラピストが猫背のお客さんを施術する際は、肩こりの代表的な筋肉を狙ってアプローチすると効果的。腕の前側にある三角筋をほぐすと、さらに効果的だが、痛みを伴うことがあるので強さ加減に注意すること。