骨盤の歪みはタイプに合わせた矯正が大切。歪みにあっていないストレッチやマッサージなどの矯正は逆に歪みを悪化させてしまいます。
自分の骨盤の歪みのタイプをきちんと知って、ベストマッチな矯正をしていきましょう。
歪みのタイプで体に出る症状もセルフケアのやり方も全然違うんです。
目次
まずは、自分の骨盤が歪んでいるかの確認です。壁に後頭部、お尻、かかとをつけて普段の姿勢で立ちましょう。
その状態で、腰に片手を入れます。
かるく握ったこぶしが入る人は骨盤が前に傾いている前傾タイプ。手の平がぎりぎり入る人は骨盤が後ろに倒れている後傾タイプ。手の平をさし込んで指先を軽く曲げられるくらいの隙間がある人は理想的な骨盤の位置です。
この確認の時に姿勢を良くしても意味がありませんから、普段通りの姿勢でリラックスして行ってください。
骨盤が前に傾いているか後ろに倒れているかで、ケアの方法は正反対になります。つまり、この確認をミスればマッサージやストレッチをすればするほど骨盤の歪みを悪化させてしまうことになるので、きちんと行ってください。
また、普段デスクワークが多く1日8時間以上座りっぱなしのライフワークの人は座った状態で、同じようにチェックしてください。立っている時と座っている時、それぞれの骨盤の状態を確認してどちらのタイプの歪みが顕著なのか知ることも大切です。
腰にグーの手が入ってしまった方は骨盤が前側に傾いています。このタイプの特徴は、パッと見の姿勢は良く見え、背筋が伸びていて胸が張っています。お尻のラインもキュッと上っている風に見えます。
つまり、スタイルがよく見えるのが骨盤前傾の特徴。また、ハイヒールのように踵の高い靴を履くと骨盤は前に傾くので前傾します。
ハイヒールやスタイルが良く見えるという点から女性に多い傾向にある骨盤の前傾。でも、スタイルが良く見えるならそれでいいじゃないか、と考えてしまう人もいるので問題点を整理します。
骨盤が前に傾けば傾いた骨盤にお腹が押し出されます。そうなるとお腹が前に出てくるので、太ってもいないのにお腹だけ出てきます。
食事をとればお腹は膨らみますが、その膨らみ方が顕著になるので服の上からでもわかるほどお腹が出てしまいます。
決して食べ過ぎているわけでも太っているわけでもないのに、やたらとお腹が出っ張る人は骨盤の前傾が影響しています。
仕事のお昼やデートの食事の後に、こっそりベルトを緩めている人は、骨盤の前傾が原因かも知れません。
割れた腹筋を作っている筋肉、いわゆる6パックの筋肉は腹直筋と呼ばれる筋肉。お腹の脂肪を落とし腹直筋を鍛えると割れたかっこいい腹筋が浮き出てきます。
この腹直筋は骨盤にくっついている筋肉です。骨盤が前傾することで骨盤にくっついている腹直筋は緩んでしまうので日常生活の中でどんどん使われ無くなり、弱くなっていきます。
つまり、腹筋が弱まりぷよぷよの締まりのないお腹になるのです。
骨盤が前傾すると、腰椎と呼ばれる腰の骨のアーチが崩れ体重が上手く分散されず、腰に負担が掛かります。
特に、腰痛の要とも言われる腸腰筋に負担が掛かるので腰痛を引き起こしやすくなります。
また、腰の骨の自然なアーチが崩れるので骨に体重が掛かり過ぎてしまい、椎間板ヘルニアやすべり症などの深刻な腰痛症を引き起こします。
骨盤が前に傾くと体のバランスが取りづらくなる為、自然と胸を張って重心を安定させようとします。胸を張ることは悪いことではありませんが、骨盤が前傾した状態で行うと胸を張り過ぎてしまいます。
胸を不自然に張り過ぎてしまうことで、背筋が伸ばされ過ぎてしまい背中の筋肉が緊張を起こします。
背中がカチカチの鉄板のようになり、肩こりや頭痛を引き起こす原因となります。
骨盤が前傾すると、大臀筋、ハムストリングスという下半身の大きな筋肉が細くなっていきます。
大臀筋とハムストリングスはいずれも骨盤にくっついている筋肉で、骨盤が前に傾くことで緩み、使われにくくなります。その為、筋肉は弱まりやせ細っていきます。
下半身の中でも大きな筋肉がやせ細ると、結果として基礎代謝を下げることになります。また、腹直筋も弱まりお腹はぷよぷよ。
要するに、太りやすい体質になっていくのです。
骨盤前傾を解消するには骨盤を後ろへ倒す動きが必要です、ストレッチの基本にして王道は続けること。
続けるには、とにかく楽にできるストレッチでなくてはいけません。
まず、床に仰向けで寝転び膝を立てます。呼吸を整えて、息を大きく吸い込んだら膝を抱え上げてお腹の上に持ってきます。この時、息をゆっくりと吐きだしながら行ってください。
簡単に言うと、体操座りです。床に寝転んで体操座りしながら息を吐き出す、これだけです。10回を目安に行ってください。
とてもシンプルですが、理にかなっています。膝を抱えこむことで脚の重みを利用して前傾した骨盤を後ろに動かして矯正をかけます。
これは、ウイリアムス体操と呼ばれリハビリの現場等でも使われている効果のあるストレッチです。
膝を抱えこんで息を吐く際に、背中を丸めこむようにすることで脊柱起立筋という背中の筋肉にストレッチを掛けることが出来ます。
骨盤の前傾で胸を張り過ぎてカチカチになっている背中の硬さが和らいでいきます。
整体師やセラピストの方が骨盤前傾のお客さんを施術する際は、腸腰筋、大腿直筋、脊柱起立筋をしっかりとほぐしていきましょう。
これら3つの筋肉はいずれも骨盤にくっついており、骨盤を前に引っ張る筋肉です。その為、骨盤前傾の人は必ずこれらの筋肉が硬くなっています。
脊柱起立筋は背骨に沿ってある筋肉ですが、胸部にある脊柱起立筋群を狙ってほぐしましょう。胸を張り過ぎる傾向がある骨盤前傾の人は、胸部の起立筋が特に硬くなっています。
太ももの前側にある大腿直筋は、真上から押すと膝にまで圧が掛かりやすい箇所で、人によっては膝に痛みが走ります。
タオルや足枕を膝の入れてから押せば、その心配はありませんのでおすすめのやり方です。
体の奥深くから骨盤を通って脚まで伸びている腸腰筋はうつ伏せでマッサージすることは出来ません。
仰向けの状態で膝を立ててもらい、親指ではなく四指を使って押していきます。リラクゼーションのお店などでは難易度も高く、お腹に指を差し込むことから禁止している所もあります。
骨盤前傾に一番強く影響する大きくて強い筋肉で、施術の難易度が高い分、しっかりとほぐすことができれば骨盤の前傾だけでなく腰痛もかなり解消することが出来ます。
大腰筋のマッサージをしたことがない整体師、セラピストの方は練習してみて下さい。大腰筋マッサージの意外なコツ
骨盤の歪みチェックで手の平がギリギリ入るくらいだった人は骨盤が後ろに倒れている後傾タイプ。骨盤が後傾すると背筋を真っ直ぐに保つ姿勢が辛くなるので、だんだんと猫背になっていきます。
横隔膜と呼ばれる呼吸をする為の器官が圧迫されて、息をしづらくなるので呼吸が浅くなり疲れやすく、集中力が低下します。
姿勢がだらしなく見えてしまい、呼吸も浅いので顔色もあまりよくありません。外見が悪く見えるだけでなく、あらゆる体の不調の原因となります。
骨盤が後ろに倒れることで背筋を真っ直ぐ保つのが辛くなり、猫背になります。すると、腕が体よりも前に入り込んでいきます、この状態をイン・ショルダーと呼びます。
イン・ショルダーになると腕の重みで肩と首の筋肉が引っ張られてしまい、肩こり首こりが引き起こされます。
特に、首の付け根付近に負担が掛かるので、首の付け根に辛さやこりを感じる人は、骨盤後傾の特徴です。
スマホのしすぎで下を向く姿勢が多くなり、首の骨にある頭の重さを分散する為の自然なアーチが無くなり真っ直ぐな首になってしまうストレートネック。
ストレートネックは、頭痛、めまい、吐き気、不眠などの強い症状を引き起こし仕事も手につかないレベルの辛さを引き起こします。
骨盤が後傾することで、猫背になり胸部の背骨のアーチが崩れます。すると、下を向いた際の首の骨に掛かる負担が増してしまいストレートネックを誘発します。
特に、筋力の弱い女性はこの傾向が顕著です。ストレートネックに効くストレッチとグッズ
骨盤が後傾し猫背になると、目線が自然と真っ直ぐではなく下を向きます。しかし、それでは生活しずらいので顔を上げて前を向き目線を真っ直ぐに保とうと、自然に人はしますよね。
すると、7本ある首の骨の一番上にくる第一頸椎と呼ばれる骨が歪みます。この第一頸椎は脳と脊柱を繋ぐ一番最初の大切な骨。この骨が歪むと、ありとあらゆる不調が体に起こると言われています。
代表的なものは、自律神経の乱れ。元気が出ない、集中力が続かない、眠い、深く眠れない、イライラしやすいなどの症状から、頭痛、めまい、吐き気、耳鳴りなどなど数えればキリが無いほどです。
脳と背骨は繋がっており、その中を髄液と呼ばれる液体が循環して脳に栄養を送り、老廃物を流したり、脳を守る大切な役割をしているものです。
第一頸椎が歪むことで、この脳髄液の循環が悪くなり、脳からの神経伝達に悪影響を及ぼしてしまい、あらゆる体の不調を起こすと言われています。
床の上にうつ伏せで寝転びます。首はどちらに向けてもいいので、そのまま2~3分間リラックスして深呼吸を行い、体の力を抜いて脱力しきっていきます。
次に、両肘が肩の下にくるようにして肘をつき上体を起こし、そのまま2~3分間リラックスして深呼吸を行ってください。
肘を元の状態に戻して、腕立て伏せをする感じで両手を床に着き上体だけをゆっくりと起こしていきます。腰が反り上がった状態になったらそのまま2秒間キープ。
2秒経ったら、手を戻してうつ伏せの状態になり、またゆっくりと手をついて腰を反らして下さい。この繰り返しを10回を目安に行ってください。
これは、マッケンジー体操と呼ばれるニュージーランドの理学療法士が考案した腰痛体操で、今でもリハビリなど医療現場で実際に行われている効果の高い方法です。
とにかく楽で家ならいつでも簡単に続けられるので、お風呂上りなどリラックスできる時間を利用してやってみましょう。
整体師、セラピストが骨盤後傾のお客さんをほぐす際に狙うべき筋肉は、大臀筋とハムストリングスです。
いずれの筋肉も骨盤にくっついており、骨盤を後ろに引っ張る作用がある筋肉なので骨盤が後傾している人は、ほとんどの場合、これらの筋肉が硬くなっています。
セラピストが通常行う普段の施術でも、おそらくマッサージしている箇所ですが、より念入りにほぐしてください。
大臀筋とハムストリングスが硬いお客さんは骨盤が後傾している可能性が高いですから、骨盤を触って見て、実際に後傾している骨盤はどのような感じなのかを手で覚えていくとスキルアップもしていけますよ。
大臀筋はお尻にある大きな筋肉で、かつ、分厚い脂肪に覆われています。その為、指で押しても圧が届かず効かせることができません。
特に、女性のセラピストだと大柄な男性のお客さんには全く圧が足りずに、困ってしまうこともあります。そこで、肘を使ってしっかりと圧を掛ける方法がおすすめです。
普段の施術で肘を使わない人でも、お尻には骨がなく、分厚い脂肪で守られていますからケガをさせてしまうことはありません。
ハムストリングスもお尻の筋肉と同じように大きくて強い筋肉です。太ももの裏側にある、半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋の3つの筋肉の総称をハムストリングスと言います。
3つの筋肉を同時に押すこともできますが、確実に効かせるなら一つずつ小分けにして施術することをおすすめします。その方が、楽なうえにしっかりとほぐせるからです。
指や肘でもマッサージすることは出来ますが、手根部分を使った方が楽です。どうしても圧が足りない時は、指や肘も使ってみましょう。
座っている時間が長い人は座っている時の骨盤の歪みも必ず確認する。歪みチェックを失敗すると、ストレッチが逆効果になって歪みが悪化するので、リラックスして普段通りの姿勢で行う。
骨盤の前傾は、服の上からの見た目は良く見えても、実際はそんなことはなく、太りやすい体質になってしまう。背中と腰を痛めやすくなり、結果として肩こりにもなりやすい。
ヒールを履く女性に多い傾向がある骨盤前傾。
骨盤が後ろに倒れると猫背になっていき、首の付け根にコリが生じやすくストレートネックにもなりやすい。第一頸椎が歪んでいき、自律神経が乱れ心理、肉体的に様々な症状をもたらす。
歪み改善のストレッチは続けることが一番大切なので、とにかく楽で効果を実感できるものを選ぶこと。
整体師セラピストは骨盤の前傾と後傾、それぞれに合わせた硬くなる筋肉を狙って施術することで歪みに効くマッサージが出来る。